YMF2019 全作品感想文(Bプログラム)

ここからはBプログラムの作品の感想です。

正直、Aプログラムの「グラフィティ・グラフィティ!」がすごすぎて、果たしてあの作品を超える作品はあるのか? という部分に興味が向いていたところもあり、そういう意味では(自分の中で)必要以上にハードルがあがっていたBプログラム。

全体的な感想を言えば、日常生活を切り取った作品を集めたオムニバス(1作品を除く😁)という感じで、そういう作品が好きな私にとっては、感情が忙しかったです😅

非常に考えさせられる、心が揺さぶられる作品が多かったと思います。

家族の地図
水口紋蔵監督
鷲頭祥伍監督

江ノ島電鉄を舞台にした家族の肖像。
父と息子の関係性が大きくクローズアップされているのですが、私自身、父親との折り合いが悪く、息子目線と父親目線の両方の思いが理解できる、戸惑いが隠せない作品でした😂

素直にいい作品だと思います。
ただ、前述したように、自分のことと重ね合わせすぎてしまうことが多く、冷静に評価できない自分がいました。

この作品は、父親がけっこういい人だったので、救いがありましたが、自分の場合は、そうではないため、羨ましいという気持ちもありつつ、過去の出来事、自分が受けた心の傷を受け入れて生きていくのって、辛いよね、難しいよね、でも、それを乗り越えて人は前に進んでいくものだから…と、占い師、オラクルカウンセラーとしての目線で観てしまうところもあって、結局何が言いたいかというと、17分37秒は短いから、もっと観たかった、ということです😅

自分が受け入れたくない、受け入れがたいと思っていることと向き合うのって、むずかしいですね…。

☆余談ですが、ワシズ監督と名前を聞いた時、自分の中でざわ…ざわ…しました😁


半径3メートル以内の片隅で
佐島由昭監督
主演の小林大輔さん、個人的には主演男優賞です😃
なんだかわからないけど、惹きつけられるものがありました。
俳優としてのオーラを感じます。

シチュエーションが少々大げさな感じがしたので、作品のテーマがぼやけそうかな、と思いきや、最後はほっこりとした気持ちになれる終わり方で、非常にまとまりがいい作品でした。

脚本賞を受賞したのですが、「失恋科」の長谷川徹監督が、どうせなら脚本賞が欲しかったと悔しがっていて、私が審査員だったら、「失恋科」のほうを推すかな、と思います(忖度ではありません😅)

まあ、そのへんは単なる好みですが、この作品は、人と人との距離感、自分のことをわかってほしい、受け入れてほしいという感情、そういった、ともすれば重くなりがちなテーマをコミカルに描いていて、そのへんのさじ加減が見事なので、脚本賞は納得だと言えます。

他人に対して優しくしよう、と思わせる作品でした。

☆でも…歩み寄りたいと思うけど、どうしてもこいつは無理! という人もいます😅


次は何に生まれましょうか
野本梢監督

この作品、もちろん作品自体素晴らしかったのですが、観終わって、パンフレットを見たら、監督が「山形県生まれ」と書いてあり、そこだけでもう勝手に親近感を覚えて、仲良くなりたい! と思いました😅
もちろん、授賞式の後にお話をさせていただいたのですが、彼女は「ほっとけない」と思わせるものを持っていて、非常に気になる人でした。

まあ、それは映画の感想とは関係ないので、このへんにしますが、この作品、タイトルだけを見ると、スピリチュアルな感じがして、どういう物語なんだろう? と気になりながら見てました。

基本的に観客に対して何も説明しない、観ているあなたが考えてください、という感じの、あえて監督個人の意見や感情を入れない、見方によっては挑戦的な内容でした。

そういうのもあって、この作品が何を伝えたいのかに気づいたときは、一気に感情が押し寄せてきて、作品の中にグイッと引っ張り込まれた気がしました。

「なんで? ただ、一生懸命生きてるだけなのに!」

そういうセリフがあったわけではありませんが、私には、主人公の聡美がそう叫んでいるように思えました。

理解してもらえない苦しさ。言っても伝わらない、歪んだ解釈しかしてもらえないもどかしさやむなしさ。

そういった感情は、私自身が一番よく理解できて、言いたいことでもありました。

そんな状況の中でも、見えてくるわずかな救い。

それがどれだけ助かることか。

続編が観たい。
そう思える作品でした。

☆もし自分があの場にいたら、どう声をかけたらいいんだろう…と繰り返し思います。


歌う! 女探偵
大川祥吾監督

この監督は、2年前にYMFで観客賞を受賞した「水戸黄門Z」の監督の作品で、そちらの作品も良かったのですが、今回の作品はそれを大きく上回るクオリティで、正直、最高でした😃
グラフィティ・グラフィティ! がノミネートされていなければ、間違いなく私の中ではグランプリ、という作品です。

もうとにかく完成度が高く、とても自主制作の短編映画とは思えず、深夜枠で放送されているドラマかと思いました。
むしろ、こっちのほうをシリーズ化して放送したほうが視聴率とれると思います😁

ミュージカルの要素を含んだ構成は水戸黄門Zの時と同じですが、より自然に取り入れてありました。

ストーリー的には、本編よりも、途中で現れる謎のクレーマーや、主人公の事務所の大家さんなど、いなくても物語としては成立するキャラクターが素晴らしく、そういったことも含めて、とても良くできた、エンターテインメントとして楽しめる作品でした。

大川監督とは、2年前に話すことができなくて、今回始めてお話させてもらったのですが、人間的にもステキな方だと思いました。

まじでテレビシリーズ化しましょう。

☆大川祥吾監督、なんかすごくいい人で、ブレイクしても大物ぶったりしないでほしいと思いました😅


カセットテープ
松本動監督
去年のYMFで「公衆電話」という作品でノミネートしているので、2年連続ノミネートになります。

公衆電話は、個人的に大好きな作品で、その監督の作品となれば、期待せずにはいられません😃

当然、期待を裏切らず、心に染みるいい作品だと思いました。

正直、ストーリー的に奇をてらったところがまったくなく、展開が読める…といったら失礼かもしれませんが、「水戸黄門」(Zじゃない方)や「サザエさん」的な安定と安心感があり、安心して観ることができました。

正直、10作品の中では、一番商業作品として成功する可能性があると思います。

ここまで直球ど真ん中の豪速球を投げられたら、もうだまって見送るしかない、それくらいパワフルで、魂を揺さぶる作品、準グランプリでしたが、グランプリでも違和感がないと思います。

松本監督は私と同い年です。そういう人ががんばっているのは、作品がどういう言う前に、元気をもらえます。
いい映画も見たし、私もがんばろう、そう思えた一本です。

☆同い年の松本動監督。アグレッシブな言動にちょっとビビりますが、話すととても柔らかい印象を受ける方です。
今年は、グランプリの松尾豪監督を推しすぎて、なんか話しかけられませんでした😅


というわけで、かんたんですが、10作品の感想を書きました。
あくまでも個人的な目線なので、人によって感じ方は異なると思いますが、自分が感じたこと、思ったことを全部書けてスッキリしました。

YMF2020でお会いできるのを楽しみにしています。

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